Sigur Rosという神のライブにいった
シガーロス、それは神の名前だ。
簡単に「神」とか言ってしまうこんな世の中で、僕が唯一そう呼ぶバンド。
Sigur Rosはアイスランドのバンドで、僕にとって特別なんだ。
シガーロスの説明をしたいんだけど、その音楽は筆舌に尽くしがたい。例えようがない。静かだけど轟音で、単純だけど複雑な構成に、いつまでも続くような残響…。ダメだ、どうも的を射ているとは思えない。
とにかくもうほんとグオオオオオヴオオオオオオオオオムオオオオオオオオンン…オオオオオオオオオオオオオオオンンンンン......(余韻)って感じです。語彙力が高くて助かった。
普通のバンドだったら、新曲とか作るけど、シガーロスの場合は創造する(つくる)だからね。その歌は讃来歌(オラトリオ)で、後罪(クライム)の触媒(カタリスト)なんですよ。意味不明。そのくらい神格化しているから、僕にとっての歴史はもうシガーロス以前、以後に分かれている、B.C?否、B.S(ビフォー・シガーロス)なのである。
人間生きていると断ち切りたい面倒な柵の1つや2つはある。訳の分からない人間たちに訳の分からない言語で罵られることもある。そんな時、こいつはどうせシガーロスなんてわからない人間なんだと思う。これは完全に偏見なんですが、自分とそりの合わない人間は確実にシガーロスの名前すら聞いたことない。
かと言って「シガーロス?いいよね~私も好き〜」みたいなことも言われたくないんですよ。俺は。「俺のシガーロスはあくまで俺の主観で見るシガーロスであって君の観点から見るそれではないしそれに…」
僕はシガーロスの話になると死ぬほどめんどくさい人間になる。好きすぎて距離感がキモくなる現象だ。
そんな僕の神であるシガーロスのライブを、昨日見ました。これはもう来日なんて生易しいもんじゃない、降臨だ。いや来迎だ。そんなわけで来日公演に行ってきた。大阪はZepp難波で行われたそれは、まさに神との邂逅であった。
ここからは、僕の堪能な語彙力で表現したいと思う。
会場の照明が落ちて、ゆっくりとスモークの煙が流れる。
暗くなったステージの奥から、ヨンシー、ゲオルグ、オーリーの三神が現れる。
僕は前から三列目、全員の顔がよく見える。
神「…オオオオオオオオン…ウオオオオオン」
(ヤバイ、本物のSigur Rosだ…意外と老けてるんだな)
神「ヒョイイイイピイイ ウーー エンスイキローーーン」
(Ekki mukkから、うおおヤバイ!)
神「ズーーーン ズーーーン
グオオオオオオオオオオオウオオオオアアアアアアアアアンンンンン(ドウンドウン)
トゥシャーニーホーーーーーーー」
(グロウソウリ!!!!これ三人の音????????マジですごくない???????)
ここらへんで鳥肌が無限個たった
神「ズオオオオオオオオ…アオオオオオオアウウウウウオオオオンン
ズィイイイイイイイイイイイ-------ズオオオオアアアアアアン
グレアーーーーーー」
(「()」の曲はヤバイ!!!死んでしまう!!ギターにやられる!!)
神「ポン ポン ペン ポンペペンポンポン
アーーーウーーーーウーーーーー ウーーーーウーー」
(Fljótavík、Varða…美しさ)
…オウウウン…ゴウウウン…(余韻)
一部終了、今回は二部構成になっているらしく、一旦休憩があった。
そして、ステージの奥まったところから再び現れる神々。
神「ドンドドン ドンドン」
(照明、VJもものすごいなこれ)
神「ギリギリ ギリギリ…」
(まさか…これは…)
神「ペンペペンペンペンペンペペン(テンテテンテンテン)」
ワァ-------
(Sæglópur!!!!!!!!!!!!!ああrgじゃgjっkdj!!!!!!?????)
ここで会場のボルテージは最高潮となり、
神「ドンドンパ ドン ビーー ドンドンパ ドン ビーー ドンドンパ ドン ビーー
ゴオオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
アフチュールミーーーー」
(ぬいバッテリーーーーーーー!!!!!!!dふぁgdg)
神「ポン ポン テレン テンテン
ユーーーサレローーーーーソーーユソーーー」
(Vaka!!!!!!!!!!fjhjfhがじ)
神「ドンドンドンドンドンドン ドンドンドンドンドンドンドン ドンドンドンドンドンドンドン ベ------ベ---ベ---ベ----」
(フェスティバルっ!!!!!!!この曲のカタルシス!!!!!ドラムがいつの間にか半裸に!!!!!)
神「ブーーーンブーーンン オアアアアアン」
(ああ…さっきヨンシーがちょっとこっちきたん良かったな…)
神「ゴアアアアアアン ヴアアアアア ズィオウアウアウアウ
シャアアーーーーーーーキーーーーローーン
ズンズン…ズン…」
ヌアアアアアアアアキイイイイイアアアンンン……ウイイイイイアアアアアン………(余韻)
(あああ………)
終わった。
正直、Sæglópur Ný Batterí Vaka Festival の流れはやばすぎて今思い出しても鳥肌が立つ。でもまだ見たかった曲いっぱいあるし、もっとやって欲しかった。巨大な自然そのものみたいなSigur Rosのライブは、森の静けさから、風の音、雷鳴や嵐みたいな轟音まで、会場いっぱいに暴れまわっていた。そして、その余韻といったらないよ。ほんとに圧倒された。またいつか必ず見たい。最高だったーーー
Takk...
Spotifyで聞くブラックメタル入門
聞き慣れた曲ばかり毎日聞いていると、何となく焦ってくる。同じような刺激を受けていくうちに、知らず知らず感性が摩耗していくんじゃないか、そんな不安にとらわれる。
Spotifyを始めた。音楽ストリーミング配信サービスである。
僕はSpotifyが日本に上陸する前からちょくちょく使っていたんだけど、普段はiPodで音楽を聞いていたので、課金したのはついこないだのことだ。見慣れたアーティストばかりが並ぶ自分のiPodとは違って、Spotifyにはいろんなのがある。これ前から聞きたかったやつ、とか、この曲ライブ盤あったのか、とかたくさん見つかる。自分のように様々なジャンルを横断的に聞いていくタイプには相性が良いようだ。
イマドキのアーティストにもついていきたかったので、岡崎体育やら、サチモスやら、水曜日のカンパネラやらをフォローして聞いていたけど、結局すぐに飽きた。こういう音楽を聞いても表面をなぞるだけですぐ消費してしまうのは、自分がメインターゲットから外れたからなんだと気づくと、少し寂しさもある。
なので今は、ブラックメタルを聞いている。
長い前置きが終わり、今日はブラックメタルの話をする。それはとても癖の強い音楽です。
「悪魔主義」と言われる反社会的な音楽性が特徴のブラックメタルは、ノルウェーやスウェーデンなどの北欧で生まれた。北欧といえば家具や雑貨などで、洗練されてスマートなイメージがあるけど、実はあのあたりは冬の日照時間が極端に短いので、精神を病んでしまう人が多い。日光からセロトニンを作ることができないのである。そんな死ぬほどの陰鬱を昇華してできた音楽なので、当然のごとくブラックメタルは地獄で録音したような曲ばかりだ。
速すぎるシンプルなドラム、存在感の薄いベース、単音のトレモロリフが永遠に続くギター 、終わっているデスボイス。乱暴に言っているがブラックメタルの大体はこんな感じだ。ありえないほどの低音質なバンドが多いので、基本的に何やってるのかがわからない。何やってるのかわからないがとにかく速い。速いしウルサイ。たまに宗教音楽みたいなコーラスやシンセが入る。その後はまたさっきの速いやつだ。
それだけ聞くとただの騒音みたいに思われるかもしれないが、ブラックメタルの面白さは、その哲学にある。死者を模したようなコープス・ペイント、血のりや動物の死骸を使ったライブパフォーマンス、折りに触れ自殺するバンドメンバー。バンドによりけりだが、とにかく全てに反抗する、と言った哲学は共通している。
反社会性は音楽だけに留まらず、本物の犯罪者も多く発生した。教会を燃やしてジャケットに使用したり、絡んできたゲイを殺害したり、最終的には内ゲバでバンドマン同士で殺人事件が起きた。ブラックメタルはわりと危険である。
だけど、そんな奇抜なファッションも、やりすぎなパフォーマンスも、騒音に近い音楽性も、何もかも鬱から抜け出すためだと思うと少し可笑しくなってしまう。どのバンドも、欝や恐怖を昇華するために真剣にやっているので、行き過ぎたシリアスがギャグに見えるのと同じように、ときどきどこか滑稽に見える。その純粋さもまた、ブラックメタルに惹かれる点である。
僕は暗い気分の時は、ブラックメタルを聞く。単調なリズムで低音質な爆音が流れ続けると、ホワイトノイズを聞いている感覚になって、いつの間にかささくれだった気持ちが少しニュートラルになる。自分と同じように、それ以上に陰鬱な気持ちで作られた音楽に共感することが癒やしになるのである。
SpotifyはFacebookと連携して、利用している友達が聞いている音楽を見ることができる。チェックしてみると、僕のFacebookは友人が少なすぎたのか誰もまともにやっていなかった。3ヶ月で100円セールはもう終わってしまったが、今からでもどうですか。一緒にブラックメタルを聞こう。SNSの鍵アカで上司や会社の愚痴をよくこぼしている諸兄らには、特にオススメしたい。 僕はFuneral Mist、Deathspell Omega、Xasthurがお気に入りだ(バンド名もちょっと笑えるでしょ?)。