許容もなく慈悲もなく

Keita Ito/イワシミズの文章です

「君に届け」を初めて読んだ25歳男性

僕の彼女が読んでいたこともあり、「君に届け」が有名な少女漫画で、甘酸っぱい恋愛ものであることはすでに知っていた。おそらく生クリームマシマシのパフェみたいな漫画だ。どう考えてももう自分の年齢とは合ってない。それはわかっていたが、読んでみると新鮮な気持ちが蘇るかもしれないと思い手に取った。

 

地味な爽子が、風早くんという爽やかな男との恋を通じて成長していく物語。少女漫画にありがちな暗さが全くなくて、全体的に明るい雰囲気があって良い。しかし、この漫画はとにかく全てがじれったい。ふとした表情にドキドキ、ちょっとした会話にドキドキ、席替えや学校行事にドキドキ。爽子はそんな毎日を経て、風早への気持ちが恋だと気づくのに4、5巻ほど消費する。二人はそこからクリスマス、バレンタインとイベントごとに毎回ドキドキし、毎回すれ違う。近づいたり遠ざかったり、誤解、不安や葛藤、抑えられない気持ち…。そんな感じで物語は遅々として進む。

 

爽子に友だちができたり、クラスに馴染んだりして行く様子を見ると頑張れと応援したくなるし、一見悩みのなさそうに見える風早くんにも、実は爽子への想いを伝えるか悩んでいて、そこには惹かれるんだが、彼らはずっと恋に浮かれている。「今日の挨拶のとき、ちゃんと笑えてたかな…」とか「嫌われたくないけど、この気持ちを言葉にできない…」とか。そのうち友人たちの恋模様も始まりだした。これも同じようなペースで心理描写全マシ甘めだ。はよせい、と思う。

 

君に届け」というタイトルから、僕は最初「付き合って完結」なんだと思っていた。なので10巻くらいでやっと告白して付き合った時は、よかったよかった、めでたしと思っていた。しかしなんと、あのうねうねとじれったい恋のすれ違いは付き合ってからも続くのだった。むしろこれからが本領発揮であった。嘘でしょ。二人は付き合ってからも「自然に手をつなげるかな…」や「修学旅行で一緒に回れるかな…」とかすれ違いを延々やっている。

 

15巻で限界が来た。もう勝手にやっててくれ。でもどうなったか気にはなるので最新巻だけ読んでやったら、当たり前だけど僕の知らないうちに二人の親密度がめちゃめちゃ上がっていてゲームで裏技使ってレベル100にしたときみたいな気分になった。僕が高校生の恋愛模様をじっくり味わうには、流石に大人になりすぎていた。最初からわかっていたけど、そもそも生クリームは好きではなかった。